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避雷針の仕組みとは?落雷から暮らしを守るメカニズム

2024年07月01日

避雷針は、落雷から人々の生命や財産を守り、ひいては日々の暮らしを安全に過ごすために重要な役割を果たしています。

では、避雷針を含めた避雷設備はどのような仕組みをしているのでしょうか。

今回は、避雷針の仕組みや、法律や規定による落雷から暮らしを守るメカニズムを解説します。

避雷針の仕組みとは?落雷から暮らしを守るメカニズム

避雷針の仕組みとは?

避雷針とは、落雷を受け止める受電部である避雷突針の通称です。その役割は、落雷による火災や電気的損害の防止であり、建物の最高点に設置されています。

本項では、まず落雷の性質から紐解き、避雷針の仕組みを解説します。

落雷とは? – 自然現象の概要

落雷は、雲と地面の間、もしくは雲と雲の間で生じる放電現象です。雷は、雲の中でチリなどの微粒子・水滴・氷の粒の衝突による摩擦帯電や、氷の粒の分裂による電荷(物体が帯びる電気量)の発生が原因だと考えられています。

また、雲の中の電荷はプラスが上方へ、マイナスが下方へと集まりやすい特性を持ちます。そのため、雲の中では上下に電気の流れが作られ、微小な電流が相対的にプラスの電荷を持つ地面へと届き、落雷が生じるのです。

そこで、落雷の被害を最小限に留めるためには、雲により近い場所に放電しやすい物体(避雷針など)を置き、電荷の行方を誘導する必要があると言えるでしょう。

避雷針の仕組みとは?

避雷針は、尖った先端部で雷を捕捉し、導線を使って地面に放電する装置です。具体的には、以下の3つの要素により構成されます。

  • 捕捉器

捕捉器は、建物の最も高い部分に設置された金属製のロッドを指しており、一般的に避雷針として認識されている部分です。また、先端部を尖らせることで雷の捕捉しやすくし、電気エネルギーを下部へと導いています。

  • 導体

導体は、捕捉器および接地装置と繋がっており、電気エネルギーを建物の外を通って地面へと運びます。また、建物よりも電気的な抵抗を少なくすることで、雷の通りやすい道を提供する役割を果たします。

  • 接地装置

接地装置は、電気エネルギーを地面に放出する装置で、金属製の棒やプレートが地面に埋められている構造が一般的です。

このように、避雷針は雷に最も通りやすい経路を与え、落雷のエネルギーを建物内部を通過させることなく、直接地面へと放出させる役割を果たしているとわかります。

落雷から暮らしを守るメカニズム

避雷針を始めとする避雷設備は、落雷から日々の暮らしを守るため必要な要素です。

特に、建築基準法では高さ20mを超える建築物には避雷設備を設けなければならないと定めており、生命や財産を守る役割を果たしています。

本項では、落雷から暮らしを守るメカニズムとして、避雷設備の性能水準およびJISによる規定を解説します。

避雷針を含めた避雷設備の性能水準

避雷設備の性能水準は、国土交通省の建築設備設計基準において、外部雷保護と内部雷保護に分類されています。

外部雷保護は、落雷による電流を安全に地中に流すことを指しており、避雷針が代表例です。

そのため、上記の性能水準は建物自体の損傷や火災の防止に重要な役割を果たしていると言えるでしょう。

一方、内部雷保護は落雷による導電線部の電位差を低減できる構築を指します。

その役割は、落雷によって建物内に侵入した電気から電源線や通信線などの設備を守る働きです。

内部雷保護では、主に以下の設備を用いて雷による被害を最小限に抑えています。

  • サージ保護デバイス:瞬間的な高電圧や大電流から電気回路を守る装置
  • 等電位ボンディング:電気設備や金属材料に共用の接地極を繋ぎ、電位差を抑える構造

このように、上記の性能水準の遵守が建物の安全、ひいては暮らしを守る役割を果たしていると言えるでしょう。

JISによる規定

避雷設備における規格は、JIS A 4201が広く適用されています。

JIS A 4201は、1992年の作成および2003年の改訂を経て、現在におけるダブルスタンダードとなっています。

JIS A 4201:1992では、主に寸法規定が記載されています。

一方、JIS A 4201:2003では主に性能規定が記載されており、雷撃電流により保護レベルを区別している点が特徴です。

他にも、JIS A 4201:2003は雷保護システムの材料についても具体的に記載されており、以下の金属もしくは、同等の特性を持つ材料の使用を定めています。

  • 溶融亜鉛めっき鋼
  • ステンレス鋼
  • アルミニウム

上記は、材質ごとに使用条件(気中・地中・コンクリート内)および、腐食条件(耐性・進行性・電解対象)の記載もあり、JIS A 4201:1992に比べてより具体化されています。

このように、避雷針を含めた避雷設備はJISにより標準化されているので、多くの建物において落雷の被害を最小限に抑え、日々の暮らしに一定の安心感を与えていると言えるでしょう。

避雷針の仕組みとは?落雷から暮らしを守るメカニズム まとめ

今回は、避雷針の仕組みを落雷の概要から紐解き、法律や規格による落雷から暮らしを守るメカニズムを解説しました。

避雷針は、落雷の行方を誘導し、大地に放電させる装置です。

また、法律や規格を規定することにより、落雷の危険性を最小限に抑えています。

このように、避雷針を含めた避雷装置が落雷から日々の暮らしや財産を守っていると言えるのではないでしょうか。